「心に残るプレゼント」
2020年度受賞作品紹介
あなたの「心に残る」プレゼントはなんですか?
株式会社ハピネス・アンド・ディでは創業30周年を記念し、プレゼントにまつわるストーリーを募集いたしました。
その結果みなさまからたくさんのご応募いただき数々の心あたたまるエピソードが集まりました。
その中からよりすぐりの「心に残るプレゼント」ストーリーをご紹介します。
ペンネーム:ことさん
大賞が4コマ漫画になりました!
高校2年生の夏に初めて彼氏が出来ました。
アルバイトが出来れば12月の彼の誕生日にプレゼント出来るものも広がりますが、アルバイト禁止の学校だった為、親からもらう毎月4千円のお小遣いをなんとかやりくりしてプレゼントを買わないと…と大変でした。
当時は洋服やメイク、好きな芸能人が載っている雑誌を買ったり、たまに部活後に友達とファミレスで安いデザートとドリンクバーを頼んで色んなお話をしたりとお小遣いの範囲ギリギリの出費でした。
でも、彼の誕生日にプレゼントをあげたい!と思い、雑誌を買うのを止めたり、友達とファミレスに行くのを我慢したりしてなんとかプレゼント代を貯めました。
そのお金でオシャレな手袋を買ってプレゼントしたのですが、渡した時はあまり喜んでいない感じでガッカリしました。
しかし、会う時は必ずその手袋をつけてきてくれて、外す時も大切そうに扱ってくれてるのを見て、
「あれ?プレゼントした時はあまり嬉しくなさそうだったのに凄く大切にしてくれてる…。何でだろう?」
と思い、思い切って聞いてみました。
すると、
「お小遣いを頑張ってやりくりしてくれてプレゼントしてくれたんだよね?その気持ちは嬉しいけど、そのために友達と遊ぶこととか好きな事を我慢してほしくないんだ。」
と心配してくれたいたことが分かり、彼の本当の想いを知ってとても嬉しかったです。
あれから月日が経ち、今では私の夫になった彼は、今でもあの時の手袋を大切に使ってくれています。
ペンネーム:ハナガイイさん
-ネコの定期入れ-
我家は誰かしらの誕生日ごろに、何となく集まって、顔合わせするのがここ数年の習慣になって来ている。
子供たちは大人になり、別々に暮らしている。
その年の息子からのプレゼントは定期入れだった。
ベージュの革製で、真ん中にメガネをかけ、セーターを着て、スンと澄まして立っているネコの模様があった。
「わあ、ありがとう。あれ?もしかして私のボロボロのが見えてた?もう買い替えなくちゃなと思ってたのよ。」
「いや、それは知らなかったよ。ただ、これ、おかあにちょっと似てるかなと思ってさ。」
「えっ、あら、そうなんだ。」
息子からのプレゼントなのに、妙に嬉しくて、照れ照れしてしまった。
今も、このネコの顔を見ると、フフフとなってしまう。
ペンネーム:私は輝くさん
「ピアスの贈り物」
光るものは、美しい物は、心をときめかせる。
満天の空の星々、ひときわ輝く星の中の星はダイアモンドだ。
宝石が好き。買えないけど。
私の夫は6歳年下で口下手だった。
ある時なぜか、なんとなく、私はピアスの穴をあけた。
そうしたい気分だった。
内科のお医者様があっさりポンと開けてくれた。
小さな、あらかじめ用意したピアスはまだお預けで、医療用のピアスをして帰った。
夫はもちろん気づかない。
でも私はルンルンだった。
なにか変化が起きた。強烈な自己満足だった。
明るくなり、ひそかな自信が生まれた。
お勤めはしていたが、高い物は買えなかった。
でもピアス選びは楽しかった。
アクセサリーはほとんどしなかった。
おまけにお化粧もしない人生だった。
少し煩わしく面倒だからだった。
素敵な白い服は汚れるのが嫌で、買っても飾っておくだけ。
つまらない、しょぼくれた女だったと思う。
だがピアスは付けた。
こんな私にも夫は優しかった。
何も言わないけどそれが普通だと思っていた。
私の、ある年の誕生日に、夫は小さな箱を差し出した。
「これ、してみたら?」
それは、ダイアモンドのスタッドピアスだった。
きれいだった。
「あれ、どうしたの?」
私はびっくりして尋ねた。
「似合うと思うよ」
夫は前から気付いていたのかも知れない。
でも「へええ」と思っただけで嫌な顔もしなかったのだ。
夫はさらに続けた。
「指輪ってさ、サイズがあるだろう。それにネックレスはあんまりしないみたいだし。何がいいかなと思ったら、これがたまたま目についたのさ。それだけ」
ありがとう、あなた。
いまはもう居ないけど、これ大事につけてるよ。
お星さまみたいでしょ。
「ずっと私を見ていてね」
そういえば、あなたに何もプレゼントしなかったこと、時代がこんな夫婦だったのだと弁解し、今せっせとハピネスさんに通っている。